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イナコスの橋
川口衞先生の「イナコスの橋」が土木学会景観デザイン賞を受賞され、お祝いする会が開かれた。
すでに完成から12年経っているが、この賞は最低でも竣工後2年以上経っていないと応募資格がないそうだ。この賞の基準作りのとき、竣工後10年以上にしたらよいのでは....とも議論されたらしい。審査委員長である内藤廣氏が挨拶でいきさつを話していた。
10年経ち周りの植物も育ち、経年変化にも耐えたところで評価しようという理由からだ。建築の賞のように竣工後1-2年以内がほとんどで、10年も経つと何で賞が取れたかわからないものも多いのとは対照的だ。
すでにこの画期的な橋は、土木学会田中賞、海外の各種の賞を受賞している。
川口氏は私が20代でまだ見習中からいろいろ教わってきた構造設計家である。氏がわずか29歳で、代々木オリンピックプールの構造を担当したのはあまりに有名な話。

この橋は長さ34m、幅は平均3mぐらいの歩行者用のかわいい橋だ。にもかかわらずどこの一点をとっても独創的でアイディアに満ち合理的で軽快だ。鉄によるサスペンアーチ橋だが、部材が極端に少ない。また最大の特徴は、アーチ構造の上弦材は鉄でも何でもなく、御影石のブロック(厚さ25cm幅40cm長さ3m)を連続して仕上げ材として使っている。この御影石のブロックに鉄線でプリテンションをかけて緩いアーチ状にして引張っているのだ???


海外でいち早く評価された理由の一つに、組石造が伝統の欧米人に共通する「モノリス」神話がある。石のブロックを積み上げ壁を作り、開口部はアーチ状にして落下を防ぐ。それでも次第に?ぎ目は劣化し、やがて崩れる。欧米人にとって?ぎ目のないモノリス(一枚の)岩で壁もアーチも作りたい...ができない。
川口先生は石のブロックを金属線で引き一体にしてしまった。このモノリシックなアーチ板は海外の土木技術者や構造設計家をびっくりさせたに違いない。「木の文化」である日本の構造設計家がいとも簡単そうにモノリシックな34mの石の橋を造ってしまったからだ。
勿論、川口先生や川口事務所の研究や仕事ぶりを知っている人ならもうご存じでしょうが、こういった独創性の裏付けのために、1/10モデルや原寸模型(WORKMANSHIP MODELと呼ばれている)で、執拗な検討がされているのである。
| archiship | 18:50 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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